SUGI MEDIA

ー旅・人生・シゴトの楽しみ方を追及するブログー

適応外

本日61日にリハ受診目的で来院した30歳代女性、一見健康そうに見えるがカルテには「呼吸体操をして欲しい」と書かれている。確かに初見で気管支喘息か、それに類似した呼吸器疾患に特有の呼吸音を聴取でき、呼吸が辛そうな表情も伺える。そしてなにやら首元を隠したいのか、小さなスカーフを巻いている。

 

「すみません」

と、ひとこえかけてスカーフをはずすと、なんと小さく気管切開されていた。発声するときに喉元をおさえていたのは切開部から音が漏れないようにするためだったのだ。

 

「気管切開」は重度呼吸器疾患が原因で多量にたまった痰を自己排出できなくなった場合や、咽頭浮腫で気道がふさがれ呼吸困難に陥り、早急に処置が必要なとき適応になる。日本での経験上早くても60歳台で行う場合がほとんどだ。この女性にどんな過去があるかはわからないが、30歳代で声を奪うことがどれだけその後の人生を狂わせるのか想像できないのだろうか。