生活の質
リハビリテーションでは対象者の日常生活の質を中心としたQualiti of Life(QOL)という考え方がある。腰が痛くてかがみ仕事や長時間のPC作業ができないと訴える患者の腰の痛みをとり、動作指導することで、生活の範囲が拡がって満足度が向上する。
もちろんその尺度は極めて主観的であり、他者の事情が関与する余地はない。
SF-36という評価スケールを用いて生活の質を客観的に測定することもできるが、それも一側面での判断材料でしかない。核家族化や社会構造の複雑化により家族間での介護力不足が叫ばれる昨今、QOLの維持は家族以外の他人にゆだねられているといっても過言ではない。
さて、ウズベキスタンではどうか。
3世帯で同居する家庭が多く、年配者を敬う文化のため、介護の力がとても厚い。
町行く人や入院患者を見ても、笑顔を絶やさず皆幸せそうだ。
足りないものは多く、技術も未熟だが、おそらく生活満足度は日本人より格段に高い。
QOLの向上をリハビリテーションの最大目的とするなら、この国の人々は日本以上に満たされている。
批判を覚悟であえて表現すると、リハビリテーションにおいては、「改善の余地がない」のである。
今の社会的調和を崩してまで協力隊としての支援が必要だろうか。